戦争はほんとに美しい。

 

 

もっと戦争をしゃぶってやればよかったな。

作 坂口安吾『戦争と一人の女』

あらすじ


戦争末期、男は酒場のマダムをしていた女と同棲をはじめた。女は昔女郎をしていて不感症であったが、退屈に堪えられない浮気をせずにはいられない淫奔な性質であった。家庭的な愛情は無いが奇妙に惹かれあう二人は、どうせ戦争で破滅するのだからと、戦争をおもちゃに肉欲的な生活を送っていた。


 

19464月「堕落論」

19466月「白痴」

194610月「戦争と一人の女」

194611月「続戦争と一人の女」

19471月「私は海を抱きしめていたい」

 

戦後、矢継ぎ早に発表され世間に大きな衝撃を与えた坂口安吾の作品群がある。「戦争と一人の女」はその中でも特異な男女の風景を描いている。

初出はGHQの検閲によって大幅削除され、「続戦争と一人の女」「私は海を抱きしめていたい」の同設定で視点を変えた小説も書かれることとなった。

 

同原作は、2012年に近藤ようこによって漫画化されたことをはじめ、2013年には昭和天皇の戦争責任論をテーマとして映画化もされている。

 

2016年には、作家で思想家の佐々木中が坂口安吾論として「戦争と一人の作家」を刊行するなど、現代において、その作品と思想が問い直されている。