【ありがとうございました】

 

11/5の横浜での千秋楽をもちまして、2017年の3月東京、10月新潟、11月横浜での、舞台「戦争と一人の女」の全公演は終了いたしました。

 

 

本当に多くの皆様のご支援ご協力があり、この公演を始めることができ、終えることができました。

 

ご来場のお客様、出演者や関係者の皆様、ご支援いただき、気にかけていただいた多くの全ての皆様に、感謝とお礼を申し上げます。

 

最後まで、どうもありがとうございました。

 

今後も、一人一人の皆様にお礼のご報告をしていけたらと思っております。

 

 

坂口安吾の生誕111年という、混迷と新たな現代の機運に、東京にて集ってくれた仲間と、公演を行えたこと、また、その公演からのご縁があって、安吾の生まれた新潟の地で、本公演をリニューアルして舞台を問えたこと。そして、横浜の地で、この公演を更に展開できたことは、私としても、これまで経験したことのない過分に充実した時間でした。特に、安吾の会をはじめとする新潟の皆様との出会いがなければ、ここまで来ることはできませんでした。

 

 

現代の戦争、これが、どこにでもいる一人一人の問題であることをテーマとして、原作と現代と舞台と格闘する日々でした。

 

私はその初心を最後まで持ち続け、展開し、舞台上でそれをお客様と共に問うこと。それだけが私の仕事で、それだけは今回できたと思っています。

 

しかし、主催でもあり、演出でもある私には、本当はそれ以外にもたくさんの仕事があり、もっとできなければいけないことが多々ありました。それらを支えてくれたのは、出演者、スタッフ、協力してくれた皆さんです。大変な現場だったと思います。最後まで一緒に闘ってくれたことを、本当に感謝しています。ありがとうございました。また、新潟での票券のトラブルをはじめ、不快な思いやご迷惑をおかけした方々に謹んでお詫びいたします。申し訳ありませんでした。

 

 

私は今、清々しい気持ちではありません。お立会いいただいた皆様に最大限のリスペクトを感じると共に、個人として、まだまだやらなければいけない私自身の問題や課題が動き始めています。

 

また、現実の世界は、手をつけられないような非人間的な様相が止まりません。

 

 

しかし、この公演を通じて、私は、皆様と共に、はじまりに立ったのだと思っています。

 

 

「続戦争と一人の女」の最後のシーンを引用します。

 

 

“私は彼と密着して焼野の草の熱気の中に立つてゐることを歴史の中の出来事のやうに感じてゐた。これも思ひ出になるだらう。全ては過ぎる。夢のやうに。何物をも捉へることはできないのだ。私自身も思へばたゞ私の影にすぎないのだと思つた。私達は早晩別れるであらう。私はそれを悲しいことゝも思はなかつた。私達が動くと、私達の影が動く。どうして、みんな陳腐なのだらう、この影のやうに! 私はなぜだかひどく影が憎くなつて、胸がはりさけるやうだつた。”

 

 

私は今、ここに書いてある憎しみや陳腐さとは別の気持ちを持って、未来の前に立っているのではないかと感じています。

 

 

皆様一人一人と共に私も精進したいと思います。

 

どうもありがとうございました。

 

 

上田晃之